MORSE 小瀧望

言葉や文章が苦手なくせに語り癖があって、どうしてもこの舞台の記憶を記録として残しておきたくて、届けたくて仕方がなかったから、生意気ながらわざわざブログを作ってしまった。

今からわたしが知っている全ての言の葉を不器用に並べてこの舞台について語っていきますが、内容にはネタバレも含まれますので、まだ観劇前の方は閲覧注意してください。

かなりの長文です。すみません。

大まかな内容は把握していたが舞台演出などの情報は得ずに
D列 上手よりセンターブロックにて観劇




風の音  フクロウ?の鳴き声  電車の音で暗転

始まるなりパンツ一丁の【小瀧望
マジか。
それが率直な感想だった。
あの瞬間、全部持ってかれた。
かっこいいかわいいアイドルのパンイチ姿。そこじゃない、そうじゃない。
あの時、彼は完全に【オスカー】だった。同級生にイジメられる弱い(だんだん強くなっていく)少年だった。
オスカーであることは間違いないに決まっているのだけれど、わたしの中で小瀧くんの印象がいつ見てもキラキラしてる目だったから、あの苦しそうな悲しそうな目の光がとてもつらかった。

序盤、いじめられてズボンを脱がされお尻を叩かれるシーンがあるのだけれど、いつもキラキラした世界の小瀧くんがオスカーという少年として目の前でいじめられているという現実を脳で理解するには少し時間がかかって気付いたらもうそこで泣いてた。自分でもびっくりしたけど、ものすごく心の臓にドーンと銃弾を打ち付けられた衝撃があってその瞬間、あ。無理かも。ここから出たい。って感情になったのも確か。
オスカーの目が苦しいほどに悲しいほどに切なすぎたし、あの全会場にいるすべての目に助けを求めてる目でとても見ているのがつらかった。

ママとのシーンはオスカーの諦めが出ていてとてもよかった。オスカーの中でもうママに対しての感情はほとんどなくなっている中で少しの希望を抱きながらもママに叩かれたことによってそれが完全に無になる瞬間がなんだかすごくスッとした。ママが作ったごはんを食べなかったシーンもよしっ!オスカー!!よく食べなかった!!一歩前進!!!ってひとり心の中でガッツポーズしてしまった。単純にママがオスカーの好きなごはんを知らなかっただけだと思うと哀しみしかないけれどオスカーなりにこれからはママと生きていかない。という決断が表現されていてとても素晴らしかった。

パパとのシーンはなんとも子供らしく天邪鬼なセリフと表情がたまらなく愛しかった。オスカーが『ほっとといてくれ』って言った時に本当は引き止めてくれると思っていたのに『わかった』と言葉を受け入れられてしまったオスカーを見て、
わたしが知る限りでは愛情たっぷりにお父さんとお母さんとお姉ちゃんに愛されて愛されて育ってきた小瀧くんが、目の前で同級生にイジメられ、ママとパパにも煙たがられ、孤独の12歳の少年を演じているその現実を受け入れるのはひどくきつかった。
孤独や愛情がない心をどうやって作ったのか、どうやって理解したのか、オスカーを演じる小瀧くんの心の中を覗いてみたくなった。

お店のおじさんとのシーン
エリと出会うまではおじさんの所へ行くのがオスカーの楽しみで万引きをすることで自分の中の強さを確認し楽という感情を手にしている演技がとても素晴らしかった。
オスカーとエリとおじさんのシーンは自分よりも上手なエリにびっくりしているオスカーがかわいかった。
そしてエリがいなくなって前みたいにひとりでお店に行き、エリとの楽しかったことを思い出して勇気を出して『サルに似てるね』って言うも『そんなことを言って楽しいか、もう来ないでくれ。』と一脚されまた孤独を突き付けられるオスカーがたまらなかった。

そしてなんともエリとのシーン
2人のどのシーンも光がない中で、2人の中には光があってキラキラしていた印象。
出会いのシーンも子供と何者でもないエリのセリフが印象的でおもしろかった。テンポがよくて掛け合いがとても楽しかった。
2人は何気なく、さりげなく、お互いをきちんと好きだと言い合ってるし、付き合うとしっかり伝えてるし、抱きしめ合っているし、一緒にも寝てる。
これって今の現代の彼ら、私たちに必要な純粋な恋愛の形なんじゃないかって思った。笑
ダンスを踊るシーンはキュンキュンした。
小瀧くんダンスちゃんと踊れちゃうんじゃないの?ってひやひやしたけど全然だった。踊りを初めて見る少年でステップもぎこちなくてその演技がとても上手だった。
オスカーとエリのファーストキスはとてもかわいらしくて、特にオスカーの初めての感情 初めての経験が表情に表れていて、小瀧くんがよくするニヤけた表情とは全然違う、初々しくてとても愛くるしい表情だった。
個人的に1番好きなシーンはオスカーがエリにモールス信号を教えてお互いの名前を呼び合うシーン
オスカーがエリと呼んだ瞬間ふたりはこれからずっと一緒 だったし初恋の淡いピンクの感じが出ててとっても可愛かった。あの瞬間のエリは完全に少女でとても印象的な表情をしていて忘れられない。
オスカーが先生に『恋してるときってどんなとき?』って聞いて『ずっと一緒に居たい。生きていきたい。って思うこと。』って答えられる。
エリが警察官を殺して、そのこれからずっと一緒だと思っていたエリとの突然の別れを理解したオスカーが巨大な孤独を抱えながら彷徨うシーンはもう号泣レベルでやばかった。
『行って欲しくない。僕も一緒に行く。』とエリに縋るオスカーは本当の12歳でかわいくてかわいそうで切なすぎてすごかった。
19歳の心を持つ小瀧くんが12歳の少年が抱えるには大きすぎる孤独の心を持つ少年を演じている、凄すぎた。圧巻。もう、もういいよ。もう、もういいから。って思ったと同時にオスカーじゃなく小瀧くんとして、つよく、強く、抱きしめたくなった。
彷徨ってる途中、立ち止まって天を仰ぐような少し上を見つめて涙を堪える仕草をしたんだけど、あれ、かなりやばかった!!!!美しすぎてあの表現ずるい。涙腺崩壊した。

ミッケとのシーンも辛かった
かつて仲良かった友達からイジメられていたオスカー
『アイアイサー』と合言葉を交わし笑いあって、今までイジメられていたのにオスカーの心に怒の感情がなく優しく受け入れるオスカーを見てなんて尊いのかと胸が熱くなった。
この時のミッケの表情がとてつもなく切なすぎて、のちのプールのシーンに繋がるのだけれど、またオスカーが筋力トレーニングに来たらインミに殺されるって分かっていながら誘っているミッケの表情が凄すぎた。ツライ。

個人的に何ヶ所かプププッて面白いシーンがあったのだけど、
(例えば、言わずもがな、、エリが空腹すぎて酔っ払いを襲うシーンの時の女の子をおんぶするのは久しぶりすぎて、、バカなの?など)
周りがあまり笑ってなくて、あ、ごめんなさい。って気持ちになったんだけど、オスカーが自分の手を切り、エリと血と血の契約を結ぼうとしたあとの、スケートのシーンのヨンニはずるい。あれは演技がひどすぎる。(褒めてる)アドリブなのか、まるでスケートが出来そうにない屁っ放り腰で登場し、ミッケに後ろから押されてはウェーイと声をあげ、もちろん小瀧くん演じるオスカーはヨンニにイジメられているのだから笑ってなどいないのだけど、やめて!とオスカーがヨンニを押すとまたウェーイ。面白くてたまらなかった。唯一の息抜きだった。
そんな息抜きも束の間、そのあとすぐにオスカーの強の部分が出るシーン。ブタ!ブタ!と放たれ、ついに勇気を出してヨンニを棒で威嚇して、誤ってヨンニに怪我をさせてしまうシーン。ひとりになって強くなった、オスカーの気持ちと身体の成長が分かるとてもいいシーン。

勇気を出して、また筋力トレーニングに参加しようとするラストのシーン
『正しいと思うことをもっとやるべき』っていうオスカーのセリフが大好きだ。
逃げてばかりいないで正々堂々生きると決めたオスカーの心情が表れるすごいステキなセリフだった。
そのあとに、『僕には居場所がない。』とポツリと落とす言葉も12歳らしく寂しさを抱えきれない感じがなんとも苦しかった。
クライマックスのプールのシーンはとってもハラハラした。
実際にステージ上の目の前でプールに見立てた水槽に水(若干曇っていたから恐らくぬるま湯)がたまっていく。水かさがどんどん増えていく中でも物語は進んでいき、目の前で水が増えていくことにより観客の感情を急がせ一気に集中させる演出に度肝を抜かした。
貯められた水の中に入るなり深く息するオスカー演じる小瀧くん。
とても恐かった。
十分なくらいの訓練を受けていることは分かっているし信じていたけど怖かった。ハラハラしすぎて記憶にはないが、わたしも一緒になって息を止めてたと思うし、エリによって助けられた時は大きなため息をついた気がする。
かなり序盤でエリはオスカーにいじめられたら『わたしが助けに行く。』と嫌いな約束も交わしているし、警察官を殺して別れなければいけない時もオスカーに『命の恩人』と伝えてる。エリによって助けられた時は全部か繋がった気がしてホッとした。

濡れた身体を拭くタオルをエリに渡され頭をくしゃくしゃ拭かれるオスカーめちゃくちゃかわいかった
洋服を受け取るオスカーの表情がいちいち優しかった
あの小瀧くんの表情は初めて見たから体中に電流が走りました。愛しすぎた。

エリと永遠に一緒に居て欲しいと思っていたはずなのにいざ共に生きると決めたオスカーを見てホーカンと全く同じ未来が待っているのはわかっていたし、あの瞬間オスカーは光の中に居たけれど、やっぱり違う未来を選んで欲しかった、けどエリが居なかったらここにオスカーは居なかった、、けど、、って理解を、急いでいるうちにあっという間にカーテンコールが始まった。

1回目のカーテンコールの小瀧くんはとても生き生きしていて、その表情は達成感と自信に満ち溢れていてとても眩しかった
2回目のカーテンコールで小瀧くんが上手 下手に向かって親指を立てて来ちゃえよ!来ちゃえよ!ってポーズしてたのがとてもかわいらしかった。
カーテンコールで劇中にエリとダンスを踊るときにかかっていたフリオイグレシアスの曲がかかるんだけど冒頭ののウゥー!ってところを健さん見ながらやってて、この!末っ子ぉ!!ってとても微笑ましかった。
3度目のカーテンコールで小瀧くんが2階席に両手をブンブン振ってる表情を見て、19歳で(ここかなり重要)成人する前に外部の初主演舞台を踏めたこと、本当に本当に良かったね!!って心から思えた。

それにしても、最後まで四方八方に向けて手をブンブン振ってる主演の座長を初めて見た。
舞台の内容が内容なだけにちゃんと小瀧望としてそこにちゃんと居てくれたのはとても安心したしかわいらしかったけど、舞台だよ、、のんちゃん、、と思わず苦笑いしてしまった矢先、上手へ移動し、俯き加減でチョリースポーズして捌けていったその瞬間、あ。やっぱりかわいい。。で終われたのはとても良かった。うん。現実。よかった。

発声にも驚いた。
声のトーンを高くしていたのと息の量の出し方が絶妙で尚且つ勢いがいい。つまりは強弱のつけ方がうまい。声でも演技をしていて、その時の感情の変化を声にも付けていてその変化を耳で感じることができてとても楽しかった。きっと小瀧くんは声帯が強いし、いつ聞いても腹から声が出てるって感じ。(これは曲を聴いていてもすごく感じる。)この瞬間、あ、小瀧くん、舞台向いてる!!って確信した。

声の話をしたところで、セリフの話
わたしが観劇した日は一言も噛まなかったし滑舌もよかった。舞台役者さんの中でも聞き取りにくい人っているけれど、小瀧くんは一度も何を言ってるかわからないポイントがなかったから素晴らしい。オスカーの気持ちと想いが忙しいシーンでも早口だけどハッキリ言葉を話してるから聞き取りやすかったし、なんとも間とテンポの取り方がすごい上手でエリやお母さん、先生、特にお父さんとお店のおじさん(お父さんとおじさんは同一人物)との掛け合いが絶妙だった。これは絶対稽古の賜物だと思ったのと、小瀧くんの吸収の速さと監督や共演者との良い関係性をも感じ取れた。

小瀧くんは演技が上手だからそこは全然心配じゃなかったのだけど、今回とっても驚いたのは表情。
喜怒哀楽悲苦恋嬉、、、このどれもが全部違う表情となって表現されていた。
顔の表現はもちろん、目で演技していたのだ。これには目ん玉ひん剥きそうになるくらいびっくりした。鳥肌と寒気がすごかった。
あの会場から出て行きたくなるほど哀しい目をしてたし、きつく抱きしめたくなるほど嬉しそうな目もしてた。
小瀧くんの演技の中の怒りの目は何度か目にしたことがあったけれどあんなに哀しい目を見たのは初めてで涙が止まらなかった。


最後に

舞台が決まり、始まる前から多方面から
内容が重い。
グロい。
見ていられない内容。
などという言葉を耳にしたり目にしたりしていた。
この舞台を観るまでのわたしは初主演舞台だしどうなるか、正直あまり期待はしていなかった。
ビビって本領発揮できないんじゃないか
結果を残せないんじゃないか  と。

舞台が始まったその瞬間に、小瀧くんのオスカーを目にした瞬間に、申し訳なくなった。

そこに立つ小瀧くんは遠慮や恥じらい、躊躇いも恐怖心もなく
自信に満ち溢れ、物怖じせず、誠心誠意オスカーと向き合い、手応えすら感じていた。
初主演舞台 座長として、しっかり板の上に立っていた。
どれだけのことを考えただろう
どれだけのことを想っただろう
どれだけのことを、、、、

19歳
尊い
小瀧くんの19歳は一度しかなくて
小瀧くんの初主演舞台も一度しかない
19歳の小瀧くんが等身大で全身全霊全力で戦っている本当に本当に素晴らしい舞台だった。

もっとたくさんの人に
もっともっと小瀧くんを知らない人に
もっともっとちゃんと評価されるべきだと心から思ったし、伝えたいと思ったから、拙い文章でわたしの最大限の全ての言葉で伝えます。

初主演舞台  圧巻。
彼の未来に乾杯。
きっと彼はすごい役者になる!!!


長々とご一読ありがとうございます。
皆様の感想もお待ちしてます。